Starcraft Timesでも告知しておりましたが、11月13日(日)に東京の青山スパイラルホールにてeスポーツエージェンシー株式会社が主催する『LG CINEMA 3D Presents 第1回 eスポーツ JAPAN CUP』が開催されました。そこで直接会場に足を運んだshuiniao(スイニャン)が、当日のSC2部門のレポートをお届けいたします。
会場の様子
表参道駅からほど近い複合文化施設「スパイラルビル」の3階が、今大会の会場です。会場の入り口では、観戦に必要な3Dメガネとイベントのパンフレットが配られていました。中に入るとまず目に入るのが正面の大きなスクリーン。そしてステージの上には4台のPCが置かれ、さらにその手前には選手のプレイ画面を映すモニターがかかっていました。観戦するには申し分ない環境です。
控室にて
(左から)nemuke選手、breek選手、PSiArc選手、kurOa選手
今回SC2部門に参加した選手は、ESWC日本代表として先月フランスで戦ってきたばかりの尾崎大悟[nemuke]選手(T)、WCG日本代表として来月韓国で戦う小林大起[breek]選手(Z)、先月のSCJグランドチャンピオンシップで優勝を果たしドイツのプロゲームチーム「Typell」と契約した西村直紘[PSiArc]選手(T)、昨年のWCG日本代表でGiadaのオフライン大会での優勝が記憶に新しい小池光[kurOa]選手(P)の4名。まさに日本のトッププレイヤーの集まりといえる豪華なメンバーです。
(左)sugeo氏、(右)matsujun氏
さらに実況は日本のRTS界を引っ張るmatsujun氏、解説は日本のStarCraft界のパイオニアであるsugeo氏が担当するという、これまでありそうでなかった夢のコラボレーションが実現しました。
(左)HOUKOU氏、(右)Cherry氏
そして審判という縁の下の力持ち的役割を果たすのは、選手に解説に大会運営にとSC2界でマルチな活躍を見せるHOUKOU氏と、SC2の人気クランZaCに所属する実力派ザーグプレイヤーCherry氏。選手枠がもっとあれば、この二人も選手として登場していたかもしれませんね。
開会式
今大会は今後フランチャイズチームリーグ発足に向けた第一歩ということで、Naturals HOKKAIDO、東京ストロベリーフィールズ、e-DOGS Chiba、GAMES okinawaの4つのチームがStarCraft2、FIFA12、鉄拳6の3種目で戦い総合優勝を競うという形式になっていました。そしてまずは、チームごとに選手たちが登場。その後選手宣誓なども行われ、スポーツ大会らしい雰囲気となっていました。
一回戦
2試合が同時進行で行われた一回戦ですが、会場および配信の実況解説はkurOa(P) vs PSiArc(T)となりました。
※もう一方のbreek(Z) vs nemuke(T)の試合内容については、優勝者インタビューで詳しく書かれていますので、そちらを参照してください。
1セット目は、PSiArc選手が早めの2ndを取り、偵察でそれを確認したkurOa選手もすかさず2ndを取ります。その後PSiArc選手の軍が前に出た隙に、kurOa選手がPSiArc選手の2ndを破壊。出ていたユニットも壊滅させ、頭を押さえてしまいます。遅れを取り戻すべくPSiArc選手がドロップで攻撃に出ますが、kurOa選手も負けじと中央に出ていたPSiArc選手のユニットを壊滅させます。PSiArc選手はリッチミネラルを取るなどして巻き返しを図りますがこれもすぐに落とされ、最後はハイテンプラーを準備したkurOa選手がサイオニックストームをきれいに決めて勝利。まずは1勝です。
2セット目は、再びPSiArc選手が即セカンドを選択。kurOa選手も再び2ndを取ります。その後はお互いに軍をチラつかせつつ内政を伸ばしていきます。そしてkurOa選手が先に3rdを取り、PSiArc選手もドロップを仕掛けつつ3rdを取ります。その後お互いに軍をためてからぶつかり合いましたが、立て続けにサイオニックストームを上手く入れたkurOa選手のプレイが光ります。結局自陣を守りきれなくなったPSiArc選手がGG宣言。2:0でKurOa選手が勝利し、決勝戦進出を決めました。
決勝戦
決勝戦はnemuke(T) vs kurOa(P)のマッチアップとなりました。
1セット目は、nemuke選手がクローキングバンシーから5時に隠し2ndを置く大胆な戦略に出ました。一方のkurOa選手は3ゲートウェイ・ロボティクスでスタートし、すでにオブザーバーも出ている状態でしたが、計3体のクローキングバンシーにしばし手こずります。その後プロキシパイロンを建てて攻撃に出ますが、思いのほかnemuke選手の守りが堅く、さらにnemuke選手がユニットを全面に出して攻撃し、kurOa選手はたまらずGG。
2セット目は、nemuke選手が序盤にゴーストラッシュを準備。しかしkurOa選手はコロッサスを2体含めたユニット構成で、マップコントロールを握ります。そのまま攻撃に出たkurOa選手でしたが押しきれず、お互いに3rdを取りつつ再び交戦のチャンスを狙います。その後nemuke選手はドロップで巻き返しを図りますが、kurOa選手はここでクロスカウンターを選択。最後のコマンドセンターが落とされたところでnemuke選手が降伏し、セットスコア1:1となり勝負は最終セットに持ち込まれました。
3セット目は、序盤にnemuke選手がヘリオンハラスでkurOa選手の9体のプローブを狩り、優位に立ちました。遅れを取り戻すべくkurOa選手が軍をそろえて攻撃に出ますが、nemuke選手はSCVを動員してこれを守りきります。その後タイミングラッシュに出たnemuke選手がkurOa選手の3rdを割るなどして攻め続け、kurOa選手は最後のコロッサスが落とされたところでGG宣言。セットスコア2:1でnemuke選手が優勝を果たしました。
インタビュー
優勝が決まったnemuke選手はステージ上で賞金と副賞を受け取り、ステージ向かって左下に設置してあったお立ち台で簡単なインタビューが行われました。「優勝できるとは思っていなかった」というnemuke選手。観衆が見守る中カメラの前でインタビューということで、少し緊張している様子でした。
閉会式
ここでチームの総合優勝の発表が行われ、東京ストロベリーフィールズが初代チャンピオンに輝きました。関係者の方々の挨拶を経て、最後にSC2メンバー全員で記念写真の撮影を行いました。こうして全てのスケジュールを無事に終え、第1回eスポーツJAPAN CUPは幕を閉じました。
大会を観戦して
日本国内ではこれまでになかった規模の大きな会場と素晴らしい設備の中、日本のトッププレイヤーたちが繰り広げるハイレベルな勝負を熱い実況と分かりやすい解説でひも解いていく、非常に豪華な大会であったという印象です。
ただひとつ残念だったのが、観客の盛り上がりに欠けたこと。他の種目も同時開催だったので仕方なかったのかもしれませんが、恐らくSC2を知っていた人は観客の10%にも満たなかったのではないでしょうか。今後も継続して大会を開いていくとのことであれば、SC2の認知度UPとSC2ファンの集客が必要不可欠であると考えられます。今回ニコニコ生放送の視聴者数が7万人を超えたとのことでSC2の認知度UPにはかなりの効果が期待されますので、次回大会はいかに多くのSC2ファンに会場で観戦してもらえるかがキーポイントとなりそうです。
写真:Bact, shuiniao
文責:shuiniao(スイニャン) @ 水長 浩美 / Hiromi Mizunaga