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Botがプロゲーマーに打ち勝つ日はやってくるのか?

「Can a bot really play like a pro?」

Botが人間のように考え、スタークラフトをプレイする、そんな事が可能なのでしょうか?大学のプロジェクトとして、スタークラフトをプレイする人工知能(A.I.)「EISBot」の構築に取り組んでいる現場を紹介する記事が掲載されました。今日はその内容をお伝えしたいと思います。EISBotは以前お伝えしたAIIDE 2010にて披露される予定の、BWAPIプロジェクトから派生したBotの一種です。AI大会の概要については以前の記事を御覧下さい。

A.I.はプロゲーマーのようにStarCraftをプレイ出来るのか。これこそ、カリフォルニア大学サンタクルーズ校の大学院生、Ben Weber(左)とPeter Mawhorter(右)らが同校のexpressive intelligence studioの最新プロジェクトを始めた時に着手したプロジェクトだ。現在、開発が進められているBotの名前は「EISBot」。

「RTSはAI開発にとって素晴らしい環境を提供してくれる。RTS分野の熟練プレイヤーを倒すだけの能力があるBot作成は、いまだオープンな問題だ。」とWeber氏。EISBotは現在、プロトスのみをプレイしており、すでに人間の対戦相手に20%の勝率を維持している。事例ベース推論を使って、一通りのリプレイの中からビルドオーダーを選ぶ。

数あるRTSゲームの中から2人がStarCraftを選んだ理由を訪ねると、「なぜなら、アクティブなコミュニティーが築かれているからだ。韓国では何百人というプロゲーマーが活動的にトーナメントに参加している。このような環境があるという事は、Bot構築に有用な非常にたくさんのリプレイが生み出される。StarCraftは世界中で親しまれているし、数多くのコミュニティーサイトもある。おかげでEISBotと対戦したいプレイヤーを見つけやすい。EISBotはすでに30カ国のプレイヤー達と対戦した。」とWeber氏は話した。

「私達がStarCraftを選んだもう一つの理由は、ゲームの複雑性だ。StarCraftには3つの異なった種族がいて、非常にバランスが取れたゲームだ。特定の対戦では、多数の戦略が有効だ。StarCraftは発売して10年以上経つにも関わらず、これをすれば勝てる、といった決まった戦略は無い。この事実が、より強いBotを構築するという挑戦意欲を増加させてくれる。」と話したのはMawhorter氏だ。

Weber氏は、最終的なチームの目標は「人間レベルの行動」を習得させることだ、と言う。堅実に個人戦で勝てるだけではなく、展開されたメタゲームを追跡する能力があるBotを構築したいという事だ。「プレイヤーによって日々新しい戦略が発見され、対戦するにはどうやってその新しい戦略を攻略していくのか、が必要になる。この問題に対しての私達のアプローチは、リプレイから新しい戦略を学ぶBotを作成する事だ。」と説明した。「そうすれば、多くのリプレイを与えれば、考えられる戦略的な可能性を広げる事が出来る。」


(左:EISBot視点のStarCraft画面。右:表示されるプレイ画面。)

しかし、Botが他プレイヤーの行動から学べば、熟練プレイヤーには簡単に行動を予想されてしまうのではないだろうか?それに「直感」や、初心者の予想外の行動などはどうなるのか?Botは人間を騙すことが出来るのか。この質問に対し、Weber氏は「EISBotは、集めたリプレイから戦略を学ぶ。もし、EISBotに多数のリプレイを与えれば、いくつかの異なる戦略を実行するだろう。EISBotが戦略を選び終わった後は、リプレイにそのような例がない限り、意図的に新しい戦略は選ばない。最終的な目標のうちの一つに、EISBotに定型化されたプレイを習得させることがある。もしEISBotに特定のプロゲーマーのリプレイを与えると、プロゲーマーが普段よく使う戦略を選ぶ、といった具合だ。」と答えた。

「定型化されたプレイ、戦術的レベルの直感といったところまではまだ達成していない」とWeber氏は明かす。「なぜなら、EISBotの戦術的な知識は手入力であって、リプレイから学ばれないからだ。例えば、今現在のEISBotは多方向からの攻撃や、相手を妨害するための攻撃などは実行しない。」

Weber氏は「StarCraftをプレイするAIの構築は、屈辱的経験だった。」と言った。「対戦するに値するBotを作り上げるのは非常に難しい。対戦相手はゲーム中にたくさんの事を考えるが、その全ての知識をエンコードするのは困難を極める。現在、EISBotはビルドオーダーは習得出来るが、クールダウン中のユニットを撤退させる、相手の攻撃を封じ込め追い詰める、といったマイクロマネージメントは不可能だ。特定の状況で、特定の行動をEISBotに取らせたい場合は、手入力で行動を処理しないといけない。」

最後に「目標を達成するまでには、多くの時間と労力が必要になるだろう。プロゲーマーに勝てるだけのBotを開発するのは、非常に大変だが実にやりがいのある挑戦だ。」と締めくくった。

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ちなみに、EISBotのデバックモードがこちらから見る事が出来ます。EISBot公式ページでもスクリーンショットが掲載されています。

ソース: Building a StarCraft bot that plays like a pro / www.gamepro.com
関連記事: カリフォルニア大学でStarCraftのAI大会が開催、人間対AIのイベントも

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