東京・渋谷区に位置する原宿クエストホールにて6月23日(土)24日(日)の二日間にかけて『第2回eスポーツJAPAN CUP Supported by JINS PC』が開催され、SC2部門で西村直紘[TypePSiArc]選手(GAMES okinawa)が見事優勝を果たしました。試合結果の詳細はこちら(1日目・2日目)から、当日の会場レポートは別記事をご参照ください。
以下はshuiniao(スイニャン)が行った西村直紘[TypePSiArc]選手へのインタビュー。
-まず、第2回大会SC2部門の優勝とチーム総合優勝の感想を聞かせてください。
とにかくそろそろオフライン大会で勝たないと…という重圧感がすごかったので、今はほっとしています。チームの総合優勝に関しては最初はあまり意識していなかったのですが、チームメイトの応援をしているうちに熱くなってきたので、やっぱり嬉しかったですね。前回はチームの役に立てなかったので、今回結果が残せて良かったです。
-今までオフライン大会で結果が出せなかった原因は何だと思いますか。
まず地方在住ということもあって、東京までの移動で体力的に疲れてしまうことが多かったんですよね。あとはオフライン大会に慣れていなかったというのもあるとは思うのですが、メンタルコントロールがうまくいかなかったり、単純にマシンのセッティングを把握しきれていなかったりなどということがあったと思います。
-今回は試合が2日間ということで調整も難しかったのでは。
一日目は旅の疲れがあったものの、プレイ自体は悪くなかったですね。二日目は前の晩によく眠れなくて、ちょっと寝ては起きるの繰り返しをしてしまったんです。だけど今回は全体的にメンタルコントロール面でうまくいきましたね。今までは取れたゲームだったのに気を抜いて落としてしまったことも多かった気がするんですが、今回は最後まで緊張の糸をゆるめずにいられたので、それが一番良かったと思います。
-では、今大会に向けてどのように練習していましたか。
今回は相手が複数なので個別の対策などは特にせず、ただいつもより気合を入れて綿密にトッププロのリプレイをチェックしていました。特に『TSL4』の韓国予選に出場した色々な選手のリプレイを見て総合的にどういう戦術が多いのかを研究したり、最近のトレンドや自分が使えそうな組み立てやマイクロのポイントを探したりしていましたね。ちなみに一番参考にしたのはForGG選手とBomber選手です。
-初戦の相手となったkurOa選手に対する印象はいかがでしたか。
kurOa選手は2ベース以降の展開になりやすいというのと、フォージ・ファスト・エキスパンドを使ってきそうだなというイメージがありました。9プローブ偵察からネクサスファーストの後テランがガスを取っていなければフォージ、ガスを取っていればゲートウェイという形で進めるようにしていて、対テランのフォージ・ファスト・エキスパンドをよく研究しているなと思いました。それとプローブのハラスも上手かったですね。一応フォージ・ファスト・エキスパンドを潰すオーダーも用意していましたが、ガスもチェックされていてリーパーを使ったハラスや1/1/1オーダーも難しく、プローブを2体送ってきたりして2バラックスのオールインなどは見られやすそうでできないなと思い、結局スタンダードにプレイしました。あとは2戦目に自陣でスティムを空撃ちしてしまい、大事なプッシュタイミングを失ったのがショックでしたね(苦笑)。
-同じType Gaming所属のbreek選手との試合はいかがでしたか。
今テランにとって主流のオーダーがリスキーなので、早いプールや思い切ったラッシュを仕掛けてこられたらオーダーの組み合わせによっては危ないので、そういうのがなかったのは少し意外でラッキーだったかなと思いました。1戦目はそれへの牽制の意味も含めて先プールや14/14プール相手に安全なヘリオン・エキスパンドをしようかと思いましたが、マップ的に1戦目は1バラック・ファスト・エキスパンドからのヘリオン・バンシーが強い < Entombed Valley >、2戦目は2nd周りが広い分ヘリオンを早く出す意味が大きい < Dual Sight> で、ヘリオン・エキスパンドはそちらで使いたかったので思い切って1戦目からリスクが大きめなオーダーを取りました。でも相手から思い切った仕掛けはなかったので、戦術のチョイスは割と思い通りだったかなという感じでした。
-二日目のnazomen選手との試合は優勝のかかった大事な試合になりましたが。
あまり練習している印象がないので最初は与し易そうだと思っていましたが、実際にやってみるとプレイの綺麗さでは今大会中一番だったかもしれないですね。nazomen選手は一日目に他の2選手に対してストレート負けを喫していたのですが、これ絶対二日目に慣れて強くなるパターンだろう、迷惑なnazomenさんやでといった感じで前の日にあまり眠れませんでした(笑)。試合は2日目に使用したPCが1日目と比べて格段にラグがあり、マイクロが初日と比べてやりづらかったので、相手を待つ形で当たることをすごく意識していました。1戦目と3戦目はそれが上手くできたんですが、2戦目は相手の組み立ても上手かったうえに待つという意識が強すぎて、非常に不利な場所で当たってしまいました。遅めのコロッサスプッシュだったので、もっと広い場所で囲うように当てれば少なくともゲームが続いてたんじゃないかと少し後悔しました。nazomen選手のプレイは全体的にフォースフィールドがよく貼れていて、強いなと感じました。
-防音などを含め、大会のプレイ環境はどうでしたか。
先ほども触れましたが、2日目に使用したPCが1日目のPCに比べてラグがあってやりにくかったです。ちなみにbreek選手も自分と席を交換した後、ラグの違いに同意していました。そもそもNAサーバーが最近重いので、もし可能ならTW/KRサーバーで試合がしたいですね。そうすれば、さらに高いレベルのマイクロをお見せできると思います。防音に関してはイヤホンからゲームの効果音、ヘッドホンからは音楽が流れていて、実況解説の声が気にならず試合に集中することができました。
-優勝賞金の使い道は決めましたか。
貯蓄です。欲を出したら弱くなるので、プレイヤーとしてやっているうちは基本的に貯蓄していきたいですね。そうすれば、この試合にいくら掛かっているかなどをあまり気にせずに済むかなと思うので。
-では今後の活動予定と選手としての目標を教えてください。
今後の活動予定ですが、今のところCyAC主催の『Asia e-Sports Cup StarCraftⅡ』の国内予選には出たいと考えています。でも実は最近Playhemなどのオンライン大会への出場は、少し頻度を落としているんです。たまに実力試しに出る程度ですね。それよりは練習中心に頑張っています。目標は、とにかく機械のようにプレイすることですね。韓国のForGG選手やPolt選手などは、手の動きは特に早いわけではないのに常に落ち着いていて正確なんです。そういう選手と早く肩を並べられるようになりたいです。
-最後に、応援してくれたファンへのメッセージをお願いします。
プロゲーマーとして活動をしていく中で、言いようのない閉塞感に襲われたり心ない言葉を受けたりして、心が折れそうになる時もあります。最近は勝ちパターンが分からなくなって思い詰めたりもしました。でもそのたびにファンの皆さんの応援や励ましを受け、とても感謝しています。そして最後に大会関係者の皆様にも感謝の言葉を伝えたいと思います。ありがとうございました。
インタビュー:shuiniao(スイニャン) @ 水長 浩美 / Hiromi Mizunaga