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StarCraft II で韓国はBlizzardの支配下に?KeSPAを襲う猛吹雪

以前お伝えしたようにBlizzard EntertainmentはGretech GomTVと正式なパートナー契約を再度結びました。これに対してKeSPAは緊急のプレスカンファレンスを実施、彼らの見解を世間に公表した。複雑化するBlizzardとKeSPAの対立を今一度振り返ってみようと思う。

blizzard and gretech

2007年よりKeSPAとBlizzardは幾度となく交渉の場を設けてきた。ここで最大の議題となってきたのが「StarCraftブランドに対するBlizzardの知的財産権」だ。Blizzardは「KeSPAは、StarCraft等を使用したTV放送番組の放映権を勝手に所有し、さらにはそれによって不正に利益を得ている」と発言しKeSPAに対する敵意を明らかにした。互いの主張は平行線をたどったまま2009年の StarCraft II 発表後も交渉を続けたが、続編発売を目前に控えてBlizzardの手によって交渉は打ち切られた。

この直後にBlizzardは韓国のインターネットサービス会社Gretech GomTVとパートナーシップを発表、同社にBlizzard社のゲームタイトルを使用したトーナメントの開催権利や、それらの放映権を譲渡すると公言した。
 


これに対応する形で5月31日に開催されたKeSPAのプレスカンファレンスで、報道陣の「韓国内におけるStarCraftの使われ方はBlizzardに対する知的財産権が十分に適用されるべき内容なのでは?」との質問に対しKeSPAは、「作品そのものは発売会社のものであってスポーツではありません。e-Sportsは作品そのものと周りの環境を含んだものである。しかしStarCraftに関しては中国で正式にスポーツとして数えられており、アジア室内競技大会でも公式競技として認知されている。StarCraftは世界的に”ゲーム”から”スポーツ”へと進化を遂げている。」と発言し、StarCraftが商品(家庭用ゲーム)ではなくなったことを強調。「スポーツであることから全ての人々にオープンであるべきであり、Blizzardという一社の国際ゲームデベロッパーに管理されてしまえば、これまでのe-Sportsの文化や実績が全て無となってしまう。それはe-Sportsの未来を潰してしまうのではないだろうか?」という考えを明らかにした。

もちろんKeSPAは「Blizzardの知的財産権を無視しているわけではない」という意思も語ったのだが、「ワールドカップでアディダスは同社サッカーボールの使用料を徴収するのだろうか?KeSPAの管理する放送試合でStarCraftの使用料を徴収するというのは、それと同じ次元の話である。」とし、金銭面で知的財産権を尊重することには否定的だ。

さらに、Blizzardが苦言したKeSPAが放送試合の放映権で利益を得ているという件に関しては「我々は放映権売却によって利益を得たことはない。放映権等で発生した全ての収入はリーグ運営費へと還元されている。毎年KeSPAはこれら放映料の内訳を理事会へと報告しています。その他スポンサー料などは、ゲーム使用料の問題とは切り離して考えるべき要素であり、これらも同じく運営費として還元されています。オリンピックやワールドカップと同じく、これら財政管理なしには成り立たないイベントを我々は運営しているのです。」として、放映権売却による収益活動を否定した。

報道陣からは StarCraft II への移行など意地悪な質問も聞かれたが「まだ発売していないし、どのタイトルで大会を開催するかは、全てファンの方々が決めることだ。」と言葉を濁した。さらに、過去”GomTV Classic”を閉幕へ追い込んだ張本人と見られるKeSPAが、今後Blizzardと正式なパートナーとなったGomTVと協力体制を築くのか?という質問に対しては「過去に衝突したこともあったが、今は良い関係を築けている。韓国e-Sports発展のために協力していきたい。だが今はGomTVと協力する前にBlizzardとよく話し合う必要がありそうだ。」など否定とも肯定ともとれる発言にとどまった。

カンファレンス全体を通して「KeSPAは選手、チーム、そして何よりファンのために最善の環境を作る団体である」というスタンスを強調しており、知的財産権軽視疑惑や放映権売却で濁ってしまったイメージをクリーンなものにしたい意図が感じられた。さらに緊急カンファレンスのタイミングは完全にBlizzardとヨリを戻したい考えが強く感じられる。

だがしかし、この一件を聞いた Blizzard Entertainment は「何も言うことはない」と冷たい姿勢を貫いた。さらに「5月27日のカンファレンスでGretech GomTVと提携発表をしたときに、我々のスタンスを明確に発表したはずです。」とKeSPAの対応に対して完全な無視を決め込んでいる模様だ。

この時点でKeSPAの対応は非常に愚かであると言えるだろう。6月に入ってからGretechはKeSPAや主要放送局(OGNとMBC)に対して、話し合いを持ちかけるなど積極的で友好的な態度をとっているが、KeSPAはこれに対してノーコメントを続けている。あくまでもBlizzardと直接交渉したいということであろうが、彼らはそのチャンスが何度もあったにも関わらず逃し続けたのである。すでにBlizzardと交渉する権利すら失ってしまったので、一刻も早くGretechとの交渉を通じて歩み寄りが必要であろう。KeSPAの主張も決して間違っているとは言えず、一国のe-Sports市場が他国のゲームデベロッパーだけで管理されるのは考えものかもしれない。金銭面で知的財産権を尊重せずとも、今日のBlizzard Entertainmentが所有する同社の企業価値は韓国内のStarCraft人気で成り立ったのは明らかであろう。しかし彼らが守るべきは過去の実績ではなく、StarCraft II の登場で大きく加速するであろう未来のe-Sports市場である。

いずれにせよe-Sportsに関わる全ての人々、そしてそれを愛するファンによって作られてきた10年以上もの歴史と文化が、利権争いなどで一瞬のうちに壊れてしまう事態だけは絶対に許されることではない。

参考記事

fomos.kr – KeSPAプレスカンファレンス関連
fomos.kr – Blizzardの返答関連

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