Blizzardによる来年のWCSに関するQ&AがTeamLiquidにて公開されている。
リージョンロック
今年のWCSでは韓国人プレイヤーがWCS AM、WCS EUの上位を独占してしまうということが起こっており、どこの国のプレイヤーでも全ての地域のWCSに参加する権利があるという、いわゆるリージョンフリーに非難の声が集まっていた。
これに対しBlizzardは、まだ何も決まったことはないと前置きしつつ、過剰なものにならない程度の制限を検討していることを明らかにした。これは、今のリージョンフリーな状態が各地域のWCSの競技レベルを上げているという良い側面と、韓国人選手が枠を占めることで各地域の才能溢れる新鋭プレイヤーの障害物になってしまうという悪い側面の両方の観点から検討されているものであり、具体的には各地域の地元選手のためにChallenger Leagueへのシードを数枠用意するといったような案を考えているという。
また、オンライン上ではなくスタジオで試合をする放送を増やすことで、長期間各々の地域に滞在しないといけない状況を作り出し、他の地域からの参加を難しくするといった案も検討されている。
ラダーに関する案も検討中ということで、WCSへの参加資格として各地域のラダーで一定のランクを要求したり、ラダーの順位によってWCSポイントを与えるといった事を考えているという。
2014年は「変化」の年ではなく「改善」する年
BlizzardはWCS 2012から2013で起こったような大きな変化を加えることはせず、2013年に作り上げたものを改善する方向でWCS 2014の計画を立てるという。2014年のWCSも2013年のWCSと同じく、全てのSC2トーナメントを統合する大会というスタンスを続ける方向だ。
一方、改善を模索している点として
- WCSの形式をより直線的かつ単純化する。
- より予測可能なスケジュールにすることで、もっと簡単に配信を見たり追ったりできるようにする。
- WCS以外のトーナメントに対するWCS tierシステムを再検討する。
といった点が挙げられている。
2014年は4つのシーズンではなく3つのシーズンのまま
2013年はWCSが3~4月から始まったということもあり、2014年は2013年の3シーズン制から4シーズン制に変わるのではないかという見方もでていた。しかしBlizzardによると、以下の理由のために2014年も1年を3シーズンに分けてWCSが行われることになるとのこと。
- プレイヤー、各リーグの運営、視聴者に休息の時間を与えるとともに、スケジュールをより柔軟なものにするため。
- システムを単純化し、より直線的にするため
- WCSのシステムに加わるトーナメントのためにスケジュールに空きを作るため。
シーズンファイナルは消滅?
各地域の上位入賞者が集い各シーズンの王者を決めていたシーズンファイナルだが、各WCS上位入賞者がシーズンファイナルでさらに大量のWCSポイント、賞金を得ることができるという点で批判があった。
そこでWCS 2014では今のような形態のシーズンファイナルを行わないことにしたという。またシーズンファイナルを行わないことで、個々の地域のWCS決勝やWCS tierの与えられている国際大会の重要性がさらに高められることを望んでいるとBlizzardは述べている。
地域追加の有無、賞金額、運営
Blizzardは他の地域をサポートすることは考えているというが、2014年に他の地域が追加される予定はないということを明らかにした。
また、各WCSの運営も2013年度と同じく、WCS AMはNASLに、WCS EUはESLに、WCS KRはOnGameNetとGOM TVによって開催されることになる。
賞金額については、賞金を増やすことも考えてはいるが、まだ何も決めていないとのこと。
Premier LeagueとChallenger League
2013年のChallenger Leagueを勝ち抜いても2014年のPremier Leagueのシードは貰えないかもしれないという話が出回ったが、これはBlizzardが2014年の大会形式を変更することを考えているためだという。例えば、この記事の最初で述べた「リージョンロック」の形式によっては、WCS AMやWCS EUの韓国人プレイヤーがWCS KRでのプレイを余儀なくされるかもしれない。そうなると、シードの扱いはどうなるのかという話になる。つまり、WCS 2014の形式が決まらない限りはBlizzardとしても何とも言えないということである。
その上で、現在分かっていることとしてBlizzardは以下のことを明らかにした。
- 現在Premier Leagueにいる上位8名の選手は2014年のWCS Season1 Premier Leagueのプレイヤーとしての資格を得る。
- 2014年は新しいChallenger Leagueの形式が採用されることになっているが、内容に関してはまだ合意に至っていないので詳細は明かせない。
- Challenger Leagueのグループステージでの位置は、来年の新しいChallenger League、もしくはそれの予選プロセスにおけるシードとなる。
- 現在Challenger LeagueのブラケットステージにいるプレイヤーはPremier Leagueへのシードを得られる可能性があるが、先にリージョンロックについて決めなければいけないのでまだ決定はなされていない。
まだ何も決まっていない?
この他にも、小規模な大会のサポートやWCSとチームリーグを結びつける案といった話なども出ているのだが、ほとんどの問いに対し「議論中」「まだ決定したものはない」という答えばかりで、TeamLiquidなどでは失望の声も上がっている。
しかし、WCSの来年の動きはSC2シーンの今後を左右する極めて重要なものであり、これ以上の失敗は許されない。急がず焦らず、WCS 2014を良い物にして欲しいと切に願う。